第5回 MetabolismDiet講座

MetabolismDiet講座

ここまでの講座はMetabolismDietの大枠を説明してきました。

この回では、その詳細を説明していきます。

この回が本番です。

身体の中でなにがおきるのか?

インスリンは肥満ホルモンだと前に説明しました。
ではインスリンが分泌されないことで代謝にどのような変化が起きるのでしょうか。

1.糖新生が24時間働くようになる
2.中性脂肪から24時間エネルギーを生産するようになる
3.食事誘発性熱産生(DIT)の亢進
4.ケトン体の排出

いくつか専門用語が登場しましたが、詳細にはこの後で。
内容自体は簡単ですので。

この4つの代謝の働きによって、多少の個人差はありますが1日の消費エネルギーが600キロカロリーから1000キロカロリー以上UPします。

これほど代謝がUPし、その上健康にもなれるのですからやらない手はありません。

糖新生

糖新生とは肝臓で起こる糖以外から糖を生産する基礎代謝の1つです。

この糖新生という代謝システムがあるから糖を摂取しなくても糖が不足することがないんですね。

糖新生にはいくつか代謝経路がありますが、代表的なのが以下の3つの経路です。

中性脂肪→グリセロール→糖新生

中性脂肪はリポ蛋白リパーゼ(LPL)という酵素によって脂肪酸とグリセロールに分解されます。

脂肪酸はエネルギー源になり、グリセロールは肝臓に運ばれブドウ糖に代謝された後、筋肉細胞と脂肪細胞に運ばれます。

タンパク質→アミノ酸→糖新生

タンパク質の代謝物であるアミノ酸が肝臓に運ばれ糖新生によってブドウ糖に代謝された後、脂肪細胞と筋肉細胞に運ばれます。

ブドウ糖→乳酸→糖新生

運動強度の高い運動(無酸素運動)をしたときブドウ糖は乳酸に代謝されます。

乳酸は肝臓に運ばれ、再びブドウ糖に代謝され、脂肪細胞と筋肉細胞に運ばれます。

糖新生による消費エネルギー

糖新生はかなりのエネルギーを消費します。

どれくらいかというと1日で約500キロカロリー前後。

糖質を摂取しない。
たったそれだけのことで基礎代謝はこれほどUPします。

インスリンと中性脂肪

中性脂肪の代謝を語るうえで欠かせないのがリポ蛋白リパーゼ(LPL)とホルモン感受性リパーゼ(HSL)です。

・リポ蛋白リパーゼ(LPL)
LPLは毛細血管に存在し、血中の中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解、脂肪酸を各細胞に取り込ませる酵素です。 取り込まれた脂肪酸は再び中性脂肪に合成されます。

・ホルモン感受性リパーゼ(HSL)
HSLは脂肪細胞内に存在し、中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解、脂肪酸を血中に放出するホルモンです。

本来なら、この2つの酵素によって中性脂肪は分解と合成を繰り返し、筋肉細胞、脂肪細胞にエネルギー源である脂肪酸をバランスよく行き渡らせます。

しかし、この代謝にインスリンが絡むと話は大きく変わってきます。

インスリンは脂肪細胞の毛細血管に存在するLPLを活性化させ、逆に筋肉細胞の毛細血管に存在するLPLを不活性化させます。

これがどういうことかというと、筋肉細胞はうまく脂肪酸を取り込めず、その分も含めて脂肪細胞に脂肪酸を取り込ませるということです。

この働きによって脂肪細胞の中性脂肪の蓄積を強力に進めます。

さらにインスリンはホルモン感受性リパーゼを不活性化させ、脂肪細胞の中性脂肪の分解を抑制します。

まとめると以下のようになります。

・インスリンは筋肉細胞の中性脂肪の取り込みを妨げる。
・インスリンは血中に溢れた中性脂肪を脂肪細胞にどんどん取り込ませる。
・インスリンは脂肪細胞に詰め込まれた中性脂肪の分解を妨げる

インスリンが分泌されればされるほど肥満度は加速していきます。
肥満ホルモンと呼ばれる所以です。

ガリガリ削れる中性脂肪

インスリンの分泌量は糖質の摂取量に比例します。

糖質の摂取量が少なければ少ないほど、インスリンの分泌量も少なくなります。

インスリンの分泌量が減れば

・インスリンは筋肉細胞の中性脂肪の取り込みを妨げる。
・インスリンは血中に溢れた中性脂肪を脂肪細胞にどんどん取り込ませる。
・インスリンは脂肪細胞に詰め込まれた中性脂肪の分解を妨げる

この中性脂肪蓄積のシステムは働かなくなり、脂質代謝が24時間常に活発に働くようになります。

基礎体温上昇の秘密

食事誘発性熱産生(DIT)とは食べ物を消化、吸収する際に消費するエネルギーのことです。

食事の後、体がポカポカ温かくなるのはDITによるもの。

食事とはエネルギー源の確保の手段ですが、そのためにもエネルギーが必要なんですね。

食べた栄養素の内、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質では30%がエネルギーとして消費されます。

食事の基本はNO糖質、高脂質、高タンパク質です。
自然とDITの消費エネルギーも上がり、基礎体温も上がります。

実はこの70年で日本人の平均体温は1℃下がっています。

人の体温は36.5~37.0℃が平熱ですが、現代では35℃台は珍しくなく、34℃台の人もチラホラ見かけます。

体温は1℃違うだけで基礎代謝が12~13%変わります。
体重にすると1日500g前後、1週間で3~4kg、1ヶ月で12~15kg。

これほど違います。

基礎体温が下がっている現代人がダイエットに苦戦するのも当然。

日本人、特に女性はタンパク質が足りていません。

タンパク質の1日の推奨摂取量は50gですが、もっと食べてOK。
糖質をカットした分以上のタンパク質を摂取するよう心掛けましょう。

タンパク質は肉や魚だと部位によって多少違いはありますが、100g中20gがタンパク質です。
卵は1個12g前後、お豆腐は1丁で7g。

こうやって数字で見るタンパク質をしっかり摂取するのは結構大変。

そんな時に重宝するのがサプリです。

近年の健康ブームから低糖質、高タンパク質のサプリも増えてきました。

どうしても食事でタンパク質をしっかりと食べきれない場合は無理せずサプリを頼ってください。

ケトン体は健康の証

・インスリンは筋肉細胞の中性脂肪の取り込みを妨げる。
・インスリンは血中に溢れた中性脂肪を脂肪細胞にどんどん取り込ませる。
・インスリンは脂肪細胞に詰め込まれた中性脂肪の分解を妨げる

インスリンが分泌されなければ以上の中性脂肪蓄積システムが働かなくなり脂質代謝が活発に働くようになります。

どれくらい活発になるかというとエネルギーを生産するミトコンドリアにエネルギー源の脂肪酸が満載になり、溢れてしまうほどです。

溢れてしまった脂肪酸は肝臓に運ばれ、ケトン体という脂質に代謝されます。

ケトン体は近年の研究の結果、非常に効率の良い重要なエネルギー源になることが解っていて、ミトコンドリアを持つすべて細胞のエネルギー源になります。

もちろん脳細胞にも使われます。

余ったケトン体は尿に排出されますので蓄積されることなく、24時間どんどん中性脂肪は削られていきます。

やがて各細胞がケトン体によるエネルギー生産に慣れてきて、使用効率が上がり尿に排出されなくなります。

人体でミトコンドリアを持たない細胞は赤血球や角膜などの細胞だけ。
これらの特殊な細胞はブドウ糖をエネルギー源にします。

まとめ

1.糖新生が24時間働くようになる
2.中性脂肪から24時間エネルギーを生産するようになる
3.食事誘発性熱産生(DIT)の亢進
4.ケトン体の排出

この4つにより代謝量は500~1000キロカロリー以上上昇します。

これで痩せなかったら、どれだけ暴飲暴食しているの?っていうレベルです。

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