脳のエネルギー源については長らく「ブドウ糖が唯一のエネルギー源」と言われてきました。
しかし、脳はブドウ糖以外にも脂質代謝物であるケトン体もエネルギー源にします。
これは生理学の教科書にも載っている当たり前の事実です。
ではなぜ、未だに「ブドウ糖が唯一のエネルギー源」と言われるのか?
今回はそんなお話
今や大昔の俗説
脳はブドウ糖が唯一のエネルギー源であるという説は、現在ほど化学が進歩していない時代の話です。
脳には血液脳関門という脳にとって不都合を起こす物質を除去するフィルターが存在します。
大昔はこの血液脳関門を通過できるエネルギー源はブドウ糖のみと言われていました。
これが「脳はブドウ糖が唯一のエネルギー源説」の大本です。
確かに脳は体の中で最も多くのブドウ糖を消費する器官です。
しかし、研究が進むにつれ、血液脳関門を通過しているのはブドウ糖だけではないことが証明されています。
その中の1つがケトン体です。
ケトン体は脂質代謝物でミトコンドリアを持つ全ての細胞のエネルギー源になる物質です。
人は1日に消費するエネルギーの90%以上を脂質代謝によって生産しています。
その中にはもちろん脳が消費する分も含まれていますし、脳細胞はブドウ糖よりケトン体を好むという研究結果も出ています。
にも係わらず、インターネットや家庭の医学系のTVで「ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源」と発言してしまう人が未だにいるので困ったものです。
ケトン体を生産する食事
上でも言ったようにケトン体はミトコンドリアを持つ全ての細胞のエネルギー源になる物質です。
中性脂肪が脂肪酸に分解され、ミトコンドリアに取り込まれてエネルギーを生産するのですが、中性脂肪の分解が活発になるとミトコンドリアが脂肪酸で一杯になり、これ以上入りませんという状態になります。
そうなると脂肪酸は肝臓に運ばれ、ケトン体に代謝されます。
実はケトン体は「危険な物質」と思われてきましたが、近年研究で非常に重要かつ安全なエネルギー源であることが判明しました。
ケトン体がたくさん生産されるにはインスリンの影響を最小限に抑えて、中性脂肪の分解を強烈に進める必要があります。
つまり糖質制限食です。
がんがん糖質を削ってどんどんケトン体を生産しましょう。