糖質制限にも色々と制限の幅がありますが、その中でもダイエット、健康に最も効果が高いのがケトン体質に身体を作り変えるケトジェニックです。
いかにしてケトン体質の身体を作るのか?
今回はそんなお話。
そもそもケトン体ってなに?
ケトン体は脂質代謝が亢進した時、肝臓で生産される脂質代謝物です。
これだけ言われても「なんのこっちゃ?」となるでしょうからもう少し詳しく説明します。
脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解、血中に放出され、体中を巡ります。
脂肪酸は各細胞のエネルギー源になり、グリセロールは肝臓に運ばれ糖新生によって糖に代謝されます。
脂肪酸は各細胞のエネルギー生産装置であるミトコンドリアに取り込まれ、エネルギーを生産しますが、中性脂肪の分解が活発に働き、ミトコンドリアに入りきれないほど脂肪酸が作られると脂肪酸は肝臓に運ばれてケトン体に代謝されます。
ケトン体は「ケトン体を生産する肝臓」と「ミトコンドリアを持たない赤血球」以外の細胞でエネルギー源として使われます。
特に心筋、骨格筋、腎臓、脳はケトン体を好み、どんどん消費します。
ケトン体質になるのに必要なこと
人のエネルギー生産システムは主に2つ存在します。
ブドウ糖からエネルギーを生産するブドウ糖エネルギー生産システムと中性脂肪からエネルギーを生産する脂肪酸エネルギー生産システムです。
現代食のような糖質を主食とした食事だと大量に分泌されるインスリンによって中性脂肪の分解が抑制されます。
つまり、食後はブドウ糖エネルギー生産システムがメインに働き、数時間後からの空腹時と言われる時間帯は脂肪酸エネルギー生産システムがメインに働きます。
ケトン体質になるには常に脂肪酸エネルギー生産システムを働かせ、脂肪酸を大量に生産する必要があります。
答えは出ましたね。
ケトン体質になるために必要なことは中性脂肪の代謝を活発にする=インスリンの分泌を最小限に抑えること、つまり糖質を食べないことです。
現在の血中ケトン体の基準値は26~122ですが、1日2食で1食当たり糖質量20gまでという条件だと血中ケトン体は300~1500前後まで上昇し、尿中ケトン体も陽性になります。
1日の糖質摂取量が20以下になると血中ケトン体は2000~4000前後まで上昇し、尿中ケトン体も同じように陽性になります。
大量に生産されたケトン体は心筋や骨格筋、脳細胞など赤血球を除く細胞で積極的に使用され、余った分は尿中に排出されます(尿中ケトン体が陽性になるのはこのため)。
2,3ヶ月経過すると各細胞のケトン体使用効率が上がり尿に排出されなくなります。
ケトン体は悪者説
近年の研究では、万能のエネルギー源として有効性が認められているケトン体ですが、その前までは完全に悪者扱いでした。
その原因は糖尿病にあります。
糖尿病とはインスリンを生産する膵臓がダメージを負い、インスリンを生産、分泌できなくなる病気です。
その結果、血中の糖濃度が上がり(血糖値上昇)もしくは下がらなくなり、血管や神経が傷つき様々な合併症を引き起こします。
糖尿病はインスリンを分泌できなくなる病気
糖質制限はインスリンを分泌させない食事
この2つ、なんか似てませんか?
糖尿病であることとそうでないことには天と地ほどの差があるのですが、「インスリンを分泌しない」という点は同じです。
糖尿病の人ってある時を境にギューっと急激に痩せていきますよね。
あの現象はインスリンがほとんどあるいはまったく生産できなくなったため、インスリンによる脂質代謝の抑制という蓋が外れた結果、中性脂肪の分解が活発に働くようになったということです。
当然ケトン体も大量に生産されています。
つまり、血中ケトン体が高値になる=重度の糖尿病なわけです。
これがケトン体悪者説の正体です。
これってケトン体が悪いのでしょうか?
違いますよね。
あくまで糖尿病の結果、血中ケトン体が上昇するのであって、ケトン体そのものが何か悪さをしているわけはありません。
インスリンを分泌させない環境ならケトン体が生産されて当たり前。
もちろん糖を摂取しているのに血中ケトン体が上昇していたら、糖尿病などの糖代謝異常があるということなので病院直行ですが、インスリンの基礎分泌がしっかり保たれている状態で糖質をカットし、血中ケトン体が上昇するのは自然な生理現象なので全く問題はありません。
近年の研究でケトン体が安全かつ万能なエネルギー源であることは証明済みです。
糖質をカットし、どんどんケトン体を生産するケトン体質に身体を作り変えていきましょう。